ろう梅。
毎年、年が明けて、寒の季節を迎えますと
当店の庭に蠟梅(ろうばい)が咲き
あたりに仄かな甘い香りを漂わせてくれます。
今年は、暖冬で寒さもそれほど厳しくはありませんが
寒中に蠟梅の甘い香りにふれますと
なんだか安堵感のようなものを
おぼえます。
一句 蠟梅の 香り漂よふ 日和かな てんちょう
≪ロウバイ≫
≪ロウバイ(蕾)≫
一月の茶席によく掛けられる禅語に
「無事是貴人(ぶじこれきにん)」があります。
この禅語は、臨済義玄禅師の言葉で
「無事是貴人なり 但だ造作する莫(なか)れ」
からの引用です。
禅者のいう無事は、ただ単に平穏無事というだけでなく
ほとけや道や救いを外や他に求めない心の状態です。
外に求めず、自分の中に分け入って、純粋な人間性に
出会う努力をせよと、禅は教えてくれます。
禅では、この「純粋な人間性」を
自性(じしょう)とも本来の面目(めんもく)とも
申します。
この「純粋な人間性」にめぐりあえてこそ貴人です。
貴人とは、「貴(とうと)ぶべき人」です。